インドにてリス類の国際会議が開催されました!〜第3報
会議に参加された関西野生生物研究所の川道美枝子さんより、国際会議が開催されたインドから、次回開催地であるカナダへのリス探訪記を寄せていただきました。以下にご紹介いたします。

インドからカナダへ:リス見聞記―1

                     川道美枝子(関西野生生物研究所)

               Mieko Kawamichi (Kansai Wildlife Research Association)

 インドで開催された国際リス会議からカナダのリス観察への道はいくつかの偶然に導かれた。インド南部Kerala州のPeriyar Tiger Reserve2006年3月22-27日に開催された第3回国際リス会議は、参加人数が100名程度の小規模なものだったが、リスの専門家ばかりで、Arizona State University J. L. Koprowski(写真→)など、論文で名前を知っていた人と言葉を交わすのも貴重な体験だった。会議はリラックスした、のんびりした雰囲気で続けられた(発表の制限時間を大幅に無視する人も多かったが、誰も止めようとしないのも面白い)(写真↓)。

私もエゾシマリスとチョウセンシマリスの比較生態をDifference of reproductive seasons in two subspecies of Siberian chipmunks, Tamias sibiricus (K.Suzuki, T. Kawamichi, M. Yoongとの共同研究)という演題で発表した。
会議の合間には、会場周辺に多数生息するインドオオリスRatufa indicaの観察を楽しんだ。ジャックフルーツが熟していて、大きな果実にかぶりついている姿も観察できた(写真↓)。

          

 公園や町の中にはインドシマヤシリスFunambulus palmarumもたくさんいた。日本のシマリスによく似ているが、樹上での活動の素早さに目が追いつかない。丁度交尾騒動を観察できたが、おそらく複数のオスが発情しているメスを追いかけ回していたらしく、樹上で追いかけ合いをする姿や交尾も観察できた。体は小型だが、睾丸は発達している(写真↓)。地面にもおりて食物探しをしていたから、エゾシマリスTamias sibiricus lineatusよりも樹上性の高い半樹上半地上性のリスなのだろう。











リス会議の帰途、車にたまたま乗り合わせたのは、リス会議創設者の一人Karl W. Larsenだった(写真↓)。Karl は、次回の第4回国際リス会議をカナダで主催する。車には川道武男、ニホンリスの研究発表をした西垣正男、帯広畜産大学の押田龍夫や大学院生の人たちもいて、約2時間の車中、国際会議に期待することや、リスの生態や系統関係など様々な話題で盛り上がった。

 Karlは、最近カナダのフィールドにシマリスがやたら多いという話をはじめた。地球温暖化のためか、ロッジポールパインやポンデローサパインが甲虫にやられてどんどん枯れ始め、森林局が被害を食い止めるために伐採すると、急にシマリスがたくさん出現するのだという。シマリスが「plenty of plenty」とのことで、それはぜひ見たいものだと言うと、「カナダにおいでよ。共同研究しようよ」、と気軽に声をかけてくれた。というわけで、インドからカナダにシマリス観察の道が続くことになった。第4回国際リス会議の舞台になる場所でもあり、Kamloopsのリス探訪記をご紹介しよう。 

<その2>

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