インドにてリス類の国際会議が開催されました!〜第3報
インドからカナダへ:リス見聞記−2

Kamloops(カムループス)へ

 カナダへは6月後半の10日間、予備調査ということで訪れることになった。時期的にシマリスの子供が出現していれば、たくさん見ることができるはずとの目論見である。Karl先生の大学Thompson Rivers Universityがあるのはカナダ東部、British ColumbiaKamloopsという人口9万人余りの小規模な都市である。Vancouverから北東約355km。第4回リス会議はこの街で開催される予定。Kamloopsというのは3つの川の合わさった場所という意味で、街の中央部に流れの豊かな川がある。この土地は、ネイティブアメリカンの人々に重要な場所で、8月に、年一度多くの部族が集まり、交易をしていたという。今でも、北米各地からネイティブの人たちがそれぞれの産物を持ち寄って買い物をし、ダンスをして交流を楽しんでいるとのこと。

 現地に到着して、Karl先生に早速大学の研究室(↓写真)や周辺を案内してもらった。カナダというと大森林を想像していたが、Kamloopsは盆地で、街の周辺はセージグラスの草原に囲まれ(ガラガラヘビがいるらしい)、周囲の山は乾燥に強いポンデローサ帯から標高が高くなるにつれてダグラス松にかわってゆく(写真↓)。話に聞いていた通り、松は無惨にも大規模な面積が枯れ、赤茶けた色に変わっていた(写真↓)。街の中にはアメリカクロクマが下りてくることもしばしばあり、私の訪問の数日前に、プールで熊が泳いでいて(塀を飛び越えて侵入したらプールに転げ落ちたらしい)、それは射殺されたそうだ。街の裏山にはアカリスやキマツシマリス、キバラマーモットがたくさんいると言う。

       

 翌日は学生さんが森林にかけたトラップの回収に行くということで、見学することになり、トラックで40分ほど移動し山へ入った。森林施行による伐採や松枯れ対策の伐採で森は大規模に切り開かれていた。トラップの目的は、様々なタイプの森林(樹種の違いや伐採の程度、伐採後の時間経過が異なるものなど)におけるネズミ、トガリネズミなどの種数と生息密度の比較というものらしい。全く伐採されていない森に比べて、50%程度伐採された森林の方が、小型ほ乳類の生息密度は高いようで、「持続的利用と生物多様性の保全」を目指した森林施行のための調査ではないかと思われる。

 学生が前夜からかけていたトラップにシロアシネズミPeromyscus maniculatusが入ってっていて、間近に見せてもらった(写真↑)。他のトラップ2カ所にシマリスが入っていて、キマツシマリスTamias amoenusとここで初めて対面できた(←写真)。キマツシマリスはオトナの体重は約70g程度であり、日本のエゾシマリスの約95gと比べると相当に小さい。放すとあっという間にやぶの中に消え去ったから、観察するにはなかなか難しそうという印象。森をうろうろと歩いてみたが(アメリカクロクマ、クーガー、リンクスが出てくるから怖いぞと脅されながら。実際に糞や足跡がたくさんあった。)、シマリスが湧いて出てくるというほど多いという感じはなかった。あとでわかったことだが、なぜか今年はシマリスが少ないとのことだった。森は花盛りで、ルピナス、オダマキ、ヒエンソウ(写真↓)の原種や、ハーブティで有名なローズヒップの花(写真↓)が咲き乱れていた。朝5時から(夏時間)、夜10時まで明るい。活動の時間はたっぷりだった。

            

<その1>     <その3>

※本文に掲載されている写真のご利用を希望される方は、chipmunk@h5.dion.ne.jpまでご連絡ください。商業利用以外の写真使用は無料です。

HOMEへ戻る
copyright (c) 2006  Risu Musasabi Network.  All rights reserved.